ヤングケアラーポータル メニューボタン Twitterボタン

【海外の取り組みから】学生ケアラーを支援するための大学における仕組みづくり

調査大学生

2023.09.07

BBC NEWS “University: Set up societies for student carers, graduate says”より (2023.6.9)

 

大学からのサポート

グロスターシャー大学を卒業した24歳のエマ・ウォーカーさんは、多発性硬化症を患う母親のケアを担ってきました。

そして、彼女自身もてんかんや自閉症、不安、抑うつといった症状を有し、大学時代には複雑性PTSDの診断を受けています。

「私は大学時代、友人から多くのサポートを受けました。また、毎週月曜日には“Cake and Chat”と呼ばれる学内でのイベントにも参加していました。そこでは、大学のチャプレインに何でも相談することができたんです。」

「また、DSA(障害学生手当)も受給しており、それにより、プリンターやラップトップ、大学の講義を録音するためのソフトウェアといった機材を揃えることもできました。私は母のことで何かあれば、すぐに家に帰る必要があったのですが、そのような状況でも簡単に手続きを行うことができたほか、職員たちは私の状況をとてもよく理解してくれました。」

 

出願方法の変更

イギリスの大学出願窓口であるUCASは、2023年度の出願から申請書類の中で、学生自らが「介護者」であることを記載できる項目を設定し始めました。

UCASが行った調査によると、大学に通うケアラーたちは、通常の大学生と比べて、精神的健康に関する問題を73%、身体的障がいを67%も高い割合で有しやすいということが明らかとなっています。

また、ケアラーは学力に関係なく、自分の家から近い大学に出願する傾向があるほか、レベルの高い教育機関には出願しにくいという特徴を持つことも分かっています。

 

大学進学したいけど…

ロンドンにある心理学系の大学に出願予定である17歳のフェイス・ジョーンズさんは、てんかんの症状を持つ母と、白血病を持つ妹のケアを担っており、彼女自身もてんかんを患っています。

「大学に入って全てから解放されることが楽しみではあるけど、やっぱり家から距離が遠いことが心配です。時々、大学に行って自分のやりたいことをやるよりも、家の近所に住んで仕事に就く方が良いんじゃないかって考えることもあります。でも、私の周りの人たちは、どんなことがあろうとも、大学に進むべきだって言ってくれたんです。」

 

支援のスムーズな移行に向けて

チャリティグループ”Credu Cymru”のサリー・ダッカーズさんは、UCASの申請書に、ケアラーに関する新しい項目が追加されたことを歓迎しています。

「私たちはいくつかの大学で、とても良い取り組みを見てきました。それらの大学では、ヤングケアラーの存在をしっかりと認知し、彼らをアディショナルな支援の輪の中に置いています。」

「それはただ大学に通うということだけでなく、大学に”居る”ということも含めての支援です。」

サリーさんは、教育関係者がヤングケアラー支援に関して、包括的なアプローチをとる必要があると考えています。

「私たちが行った北ウェールズでのプロジェクトでは、子どもが19歳になったとき、ヤングケアラーとしての支援を完了させ、自然な流れで、彼らを成人向けの支援へと移行させました。そのように、ヤングケアラーが大学生になった場合、彼らを自治体のサービスとつなげることができれば良いと思います。」

彼女はまた、大学組織内におけるサービスの提供が、ケアラーを適切な支援と結びつけ、そのような「シームレス」な支援の移行につながると述べました。

 

 

これからの大学におけるケアラー支援

17歳のフェイスさんは、USASの申請書におけるケアラーのための項目にチェックをつけるつもりです。

「その項目があることで、もし何かが上手くいかなくなっても、私が普段のケア役割を果たせるように、そして、大学で勉強を続けられるように、大学側が私をサポートしてくれるんだという自信を感じられます。」

ウェールズ大学は次のように述べています。
「私たちは近年、ケア役割を有する学生に向けて、追加の経済的援助や学業、健康に関する支援等、幅広いサポートを提供しています。大学は、ケアラーを含めた機会の平等に努めていますが、まだまだやるべきことがあると認識しているのです。」

back-archive-button back-archive-button
矢印 TOP 矢印 TOPICS一覧 矢印 【海外の取り組みから】学生ケアラーを支援するための大学における仕組みづくり 矢印