ヤングケアラーポータル メニューボタン Twitterボタン

【グラレコで振り返る】ヤングケアラーサポーターカレッジ(全3回)開催レポート

情報発信支援ケアマネージャースクールソーシャルワーカーソーシャルワーカー児童相談所医療機関市区町村担当部局教師教育委員会民間団体

2026.03.22

「伴走者」としてのまなざしを深める、対話と学びの時間

ヤングケアラー協会では、2026年2月から3月にかけて、全3回の「ヤングケアラーサポーターカレッジ」を開催いたしました。支援の「正解」を求めるのではなく、当事者一人ひとりの個別性に向き合い、支援者自身のマインドセットや関わり方を問い直す。そんな濃密な3回について、運営メンバーの1人が感想を書いてくれたのでご紹介します。

 

第1回:ケアを担う子ども・若者たちの声を聞く

開催日:2026年2月9日(月)

登壇者:幸重 忠孝さん、竹田 明子さん

支援の「枠」に子ども若者を当てはめない

第1回では、ヤングケアラーの居場所支援に関わるお二方から、支援者側の「マインドセット」を軸に学びを深めました。

既存の支援メニューに当てはまらない場合、つい「支援拒否」という言葉を使いがちですが、それは支援者側の視点に過ぎません。大切なのは、「N=1(一人ひとり)」に合わせた究極のパーソナライズ。

キャンプのようなゆったりとした時間の流れの中で本音が引き出されることや、「たまに帰れる場所」を提供する支援が有効であるという声がありました。

実際に、キャンプでは「普段のケアの大変さではなく、青春を感じられる」といった声が聞かれ、またショートステイ利用者からは「家に来る人とは話したくない」といった本音も見られていると言った紹介も話されました。

これらのことから、一方的に関わる支援だけでは十分にニーズを捉えることが難しく、関係性や場のあり方によって初めて本音が表出されることがわかります。

何かを代替するような”支援サービス”とは異なり、支援に見えにくい「居場所」や「ゆるやかな関わり」といった手段の重要性が再定義された時間でした。

 

第2回:“困難な家族”にどのように繋がり、解きほぐし、支えるか

開催日:2026年2月20日(金)

登壇者:根本 真紀さん、上田 智也さん

「近道」をせず、関係性の質を問い直す

第2回では、援助希求が難しい家庭へのアプローチについて深く学ぶ時間になりました。

支援者は専門性を有するがゆえに、「正しい解決策」を早期に提示しようとしがちですが、その内容が本人の実感や価値観と一致しない場合、不信感を生む要因となり得ます。また、「支援そのもの」を拒否しているのか、それとも「画一的な支援」を拒否しているのかを見極める視点の重要性が話題になりました。

ヤングケアラー支援においては、「いかに適切に支援するか」という方法論に加え、「近道をせず丁寧に向き合う姿勢」そのものが、支援の質を左右するものと考えられます。ヤングケアラーの領域は個別性が極めて高く、あらかじめ正解が存在しないため、支援者の経験や知識のみを根拠に対応することには限界があります。

そのため、支援の入口においては、効率的に対象へリーチすることよりも、日常の困りごとの中で自然な接点を生み出し、信頼関係を築くことが重要です。また、「何ができるか」という支援者側の視点ではなく、「本人が何を求めているのか」を基軸に据え、対話を重ねていくことがとても大切になります。

さらに、ヤングケアラー支援は本人のみで完結するものではなく、家族全体へ関わっていくことも極めて重要であるため、個々の支援者の努力に依存するのではなく、行政と民間が連携した体制整備が不可欠です。同時に、支援者一人ひとりが「正解を提示する存在」から「共に考え続ける存在」へと意識を転換していく必要性が共有されました。

 

ヤングケアラー支援の本質は、問題解決の速度ではなく関係構築の質にあり、個別性に向き合い続ける姿勢こそが、結果として質の高い支援につながるものと考えられます。

 

第3回:傷つきを抱える子どもたちへ、日常で実践できるトラウマケア

開催日:2026年3月6日(金)

登壇者:浅井 咲子さん

身体(神経系)の視点から安心を育む

最終回では、ポリヴェーガル理論(自律神経系)を基盤に、日常で実践可能なトラウマケアについて学びました。

当事者が抱える「なぜかしんどい」といった感覚は、本人自身も言語化や整理が難しい抽象度の高い状態ですが、支援者がその背景を神経系の視点から理解していることは、支援において大きな意味を持つと感じました。

また、「話を聞く」という一見シンプルな関わりの中にも、安心を共有する「協働調整」の視点を持つことの重要性を学びました。こうした関わりは、結果として安心感や安全感を高め、相手の状態理解を深めることにつながると考えられます。

さらに印象的であったのは、支援の現場で自然に行われている関わりの意味を理論的に理解することの価値です。なぜその関わりが有効なのかを理解することで、実践の質がより高まると感じました。

加えて、支援においては相手の状態理解に意識が向きがちですが、支援者自身の状態を客観的に捉える視点も重要であるという点は新たな気づきでした。支援は双方向のコミュニケーションであるため、支援者自身の状態が相手に影響を与えることを踏まえ、自身の状態を整えることの重要性を再認識しました。

このように、個別性の高い支援の現場においても、自律神経系の視点を持つことで、より深く相手の状況を理解しながら関わることが可能となり、結果として質の高い支援につながるのではないかと考えます。

 

ヤングケアラーサポーターカレッジを終えて

全3回を通して一貫していたのは、「効率や正解を求めるのではなく、関係の質に丁寧に向き合う」という姿勢であったと感じております。

ヤングケアラー支援は、背景にさまざまな困難を抱えており、個別性が高い領域です。しかしながら、今回の学びで得られた「一人ひとりの理由を尊重するまなざし」や「自律神経の観点から安心感を育む視点」は、あらゆる支援の現場において共通する重要な指針であると考えます。

 

ご参加いただいたサポーターの皆様、ならびに貴重な知見をご共有くださった登壇者の皆様に、心より御礼申し上げます。

 

本レポートに関するお問い合わせおよび今後の活動については、下記よりご確認ください。

ヤングケアラー協会 https://youngcarerjapan.com/

back-archive-button back-archive-button
矢印 TOP 矢印 TOPICS一覧 矢印 【グラレコで振り返る】ヤングケアラーサポーターカレッジ(全3回)開催レポート 矢印